【工場自動化のアプリケーション】計測・計量がスムーズ化 スマート工場化の3ステップ

◆ドイツが発端となった第四次産業革命

そもそもスマート工場化が注目されるようになった理由として挙げられるのが、2011年頃からドイツ政府が推進してきた「インダストリー4.0（第四次産業革命）」です。多くの製造企業を抱えるドイツが競合国であるアメリカや日本の製造方式に対抗することを目的として、インダストリー4.0を掲げることになりました。

インダストリー4.0の核となるのがスマート工場です。工場は人や設備など多種多様な要素が複雑に絡み合い、稼働状況などが不明確になってしまうことも少なくありません。スマート工場化によって絡み合った要素を整理し、情報の明確化と的確なオペレーションを実現できるようになります。

こうしたドイツの考え方は他の国にも影響を与え、中国やインドなど製造に力を入れている国々も積極的にスマート工場化を進めるようになりました。そして、日本においても工場のスマート化が期待されています。

◆スマート工場は日本で取り入れやすい

ドイツと日本は同じ製造大国であるのに加え、中小企業が全体の80％を占めるという点でも似ているため、スマート工場化しやすいと考えられています。スマート工場化が進めば、製造工程の一角を担う中小企業が他の工程を担う各企業とつながることで、一つの工場のように製造を行えるようになるなどのメリットがあります。

◆事前準備：デジタルに強い人材を確保

AIやIoTなどの最新テクノロジーを導入しただけでは真のスマート工場化は実現できません。

どのような情報を集めて分析し役立てればよいのか、具体的な戦略を考えられる人材の採用が大切です。将来に向けた戦略を練ることができる人材を確保できれば、効率的なスマート工場化につながります。

◆ステップ1：設備状態・稼働状況を明確化し、分析構造を作る

まずはリアルタイムで工場内の情報を集め、設備状態や稼働状況を明確化し、分析するための構造を作ります。例えば、ネットワークに接続できるデバイスやセンサーを導入し、設備や人の動きを把握する方法があります。集めたい情報に適したデバイスやセンサーを取り入れることが重要です。

◆ステップ2：設備のコントロールを実施する

次に、集めた情報の分析結果を用いて、設備のコントロールを行います。AIを活用した外観検査や故障予知などが具体例として挙げられます。最新テクノロジーを取り入れることで効率的に決定を下し、生産工程を自律化することが目的です。

◆ステップ3：自動で工場が稼働する体制を整える

センサー・デバイスによる稼働状況や設備状態などの情報収集、最新テクノロジーによる自律化を合わせることで、管理する人がいなくても自動的に工場の運営を持続できるようになります。スマート工場化で実現すべき最終ステップで、工場が自動的に稼働する体制を整えれば、人員不足が解消されるだけでなく、スタッフが行う業務負担を軽くすることにもつながります。誰もが働きやすい現場環境の実現に、スマート工場化は大きな役割を担います。